先に結論
- カールが落ちないのは、まつげを"ワックスの膜"で固めているから。水ではなく油がベースなので、汗や涙に強い作りです。
- 21成分の中で、EWGの評価が高めに出たのは1つだけ。色をつけるための「タルク」です。ただし、すぐ心配になる話ではありません。理由は後半で。
- 「美容液成分入り」は本当。でも、それ目当てで買う製品ではない。この製品の本領は、あくまで"落ちない"ほうです。
指原莉乃さんのブランド Ririmew(リリミュウ)から2024年11月に出た、ラッシュキープマスカラ。@cosmeのベストコスメ2025上半期で新作マスカラ2位に入った、話題の1本です。公式ショップに載っている全21成分を、Labonoaの成分データベース(EWGのリスク評価と効果効能タグ付き)と照らし合わせて、中身を読み解いてみました。
ベースが「水」じゃなくて「油」。だから落ちにくい
成分表の一番最初にあるのはイソドデカン(低リスク)。サラサラした軽い油で、塗るとすぐに蒸発して、あとにワックスだけを残してくれる成分です。
ふつうのマスカラは水がベースなので、涙や汗で"ふやけて"落ちます。でもこのマスカラは、水を主役にしていません。水も一応入っていますが、膜を作る成分がぜんぶ油やワックスの仲間。しかも落とすときは「オイルクレンジングを使ってね」と指定されています。つまり、油で作って油で落とす設計なんです。
裏を返すと、お湯だけでは落ちません。「お湯落ちマスカラがいい」という人は、ここだけ先に知っておいてください。
カールを固める"膜"の正体は、ワックス3つ+樹脂2つ
公式は「カールキープ成分とハードワックス成分が硬い膜を作ってまつげをロック」と説明しています。これを成分名でほどくと、こうなります。
- トリメチルシロキシケイ酸(低リスク)— 水をはじく硬い膜を作る、ウォータープルーフ製品の定番。この膜の主役
- ミツロウ(低リスク)— ハチの巣からとれる天然のロウ。まつげにぴたっと密着させる
- 合成ワックス(低リスク)— 膜の"硬さ"担当。公式の言う「ハードワックス」はこれ
- (エチレン/プロピレン)コポリマー(低リスク)— 膜を丈夫にするプラスチック系の成分
- ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(低リスク)— 名前は長いですが、松ヤニ由来の樹脂。くっつく力とツヤを出す
この5つ、どれもデータベースでは低リスク。膜を作る材料に、あまり心配のいらない成分を選んでいるのは好印象です。
「塗るとゲルに変わる」しくぼ
公式の説明に「まつげに塗るとリキッドゲルからゲル状に変化」とあります。ちょっと不思議な言い回しですが、要は容器の中ではトロッとしていて、まつげに乗せると固まるということ。それを担当しているのがこの3つです。
- (パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン(低リスク)— 油をゼリー状に固める成分。塗って油が蒸発すると、ゲルになって残る
- ジステアルジモニウムヘクトライト(低リスク)— 粘土からできた"とろみ"の成分。黒い顔料が底に沈まないようにする
- 炭酸プロピレン(低リスク)— 上の粘土成分をちゃんと働かせるための相棒
「繊維なしなのに長さが出る」のは、繊維の代わりにこのゲルを重ね塗りして毛先を伸ばしているから。そのぶん液が固まりやすいので、キャップの閉め忘れには注意です。
気になる成分:タルク(EWGスコア8)
21成分のうち、EWG(アメリカの非営利団体が運営する成分データベース)で高めのスコアがついたのはタルクだけでした。10段階で8。データもしっかりそろっている(Robust)とされています。
EWGのページに書かれている理由は、ざっくり3つです。
- がんへの懸念(HIGH)— タルクの原料に、アスベスト(石綿)が混ざることがある。さらに、アスベストを含まない化粧品用タルクでも、アメリカの国の研究機関(NTP)の試験で毒性や発がん性が示された、と書かれています
- 不純物の心配(HIGH)と、使い方の制限(HIGH)— 上の話にともなうもの
- アレルギーや、赤ちゃんへの影響(生殖・発生毒性)は、どちらもLOW
ここで、あわてる前に知っておいてほしいことが3つあります。
1つ目。EWGのスコアは「その成分について、心配だという報告がどれだけあるか」を表す数字です。製品そのものの危険度ではありません。2つ目。タルクが問題になってきたのは、ベビーパウダーのように粉を吸い込んだり、体の広い範囲に何年も塗り続けたりする使い方です。まつげにちょっと塗るマスカラとは、体への入り方がぜんぜん違います。3つ目。日本では、化粧品に使うタルクからアスベストが検出されないことが決まりになっています。コージー本舗は国内メーカーなので、このルールの中で作られています。
ちなみに成分表でタルクは「(+/−)」というカッコの中に書かれています。これは「色によって入っていたり、いなかったりする成分」という意味で、ブラックとブラックブラウンのどちらにどれだけ入っているかは、表示からは分かりません。
つまり、タルクを理由に「やめたほうがいい」とは言いません。ただ、成分表を見て選ぶ習慣のある人、EWGを基準にしている人には、知ったうえで選んでほしい情報です。
防腐剤は1種類だけ。フェノキシエタノール
フェノキシエタノールはデータベースでは中リスク。EWGのページではスコア2〜4で、がん・アレルギー・生殖への懸念はどれもLOW。気にするなら「皮ふ・目・肺への刺激(high)」の項目です。
日本の化粧品でいちばんよく使われている防腐剤のひとつで、入れていい量の上限も決まっています。目元の製品で「刺激」の項目があるのは覚えておきたいですが、防腐剤をこれ1つに絞っているのは、むしろシンプルで好ましい設計です。
「美容液成分」は、どこまで本気?
公式は「パンテノール・ヒアルロン酸・コラーゲン配合」を売りにしています。たしかに入っています。
- パンテノール(低リスク)— ビタミンB5のもとになる成分。データベースではエイジングケアのタグが付いています
- ヒアルロン酸Na(低リスク)— 水分を抱え込む、おなじみの保湿成分
- 加水分解コラーゲン(低リスク)— コラーゲンを細かく分解したもの
- トコフェロール(低リスク)— ビタミンE。エイジングケアのタグ付き。油が酸化するのを防ぐ役目も
- BG(低リスク)— 上の成分を溶かして混ぜるための、保湿力のある液体
ただ、はっきり言っておくと、このマスカラは「まつげを固めて落とさない」ための製品で、「まつげをケアする美容液」ではありません。ヒアルロン酸やコラーゲンは水に溶ける成分で、油とワックスでできた膜の中では"いっしょに入っている"くらいの立ち位置。入っているのは事実ですが、それを理由に選ぶものではないと思います。まつげのケアをしたいなら、夜用のまつげ美容液を別に持つほうが話が早いです。
「漆黒」を作っている4つの色
黒の見え方を決めているのは、この4つです。
- 酸化鉄(低リスク)— 黒・赤・黄の基本の顔料。ブラックブラウンの"茶色っぽさ"もこれ
- グンジョウ(低リスク)— 青い顔料。黒に少し青を足すと、くすまない"真っ黒"に見えます。昔からある定番のワザ
- 酸化チタン(低リスク)— 白い顔料。色の濃さを調整する
- 水酸化Al(低リスク)— 顔料の表面をコーティングする成分
どれも鉱物由来の顔料で、低リスク。ラメやパールは入っていないので、ツヤは膜そのものの光り方です。
結局、どんな人に向く?
向いている人
- ビューラーで上げたカールが、お昼には落ちている
- 汗・涙・皮脂でにじみやすく、ウォータープルーフが必須
- クレンジングはオイル派で、落とす手間は気にならない
ほかを考えたほうがいい人
- お湯で落ちるマスカラがいい
- 成分表のEWG評価を気にして選びたい(タルクが引っかかるなら)
- マスカラに"まつげケア"まで期待している
「落とさない、という一点に全振りしたマスカラ」——これがこの製品のまとめです。落とすのにひと手間かかること、色材にタルクが入っていること。この2つだけ知ったうえで、選んでみてください。
全成分リスト
イソドデカン/トリメチルシロキシケイ酸/ミツロウ/ジステアルジモニウムヘクトライト/合成ワックス/(エチレン/プロピレン)コポリマー/ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル/(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン/炭酸プロピレン/フェノキシエタノール/トコフェロール/パンテノール/水/加水分解コラーゲン/BG/ヒアルロン酸Na/(+/−)タルク/酸化鉄/酸化チタン/グンジョウ/水酸化Al
出典:Ririmew公式ショップ(楽天市場 LILY ANNA)の成分表示。それぞれの成分のリスク評価と役割は、成分名のリンク先で確認できます。

