先に結論
- 日焼け止めの働きは、粉で光をはね返すタイプ。肌の上で化学反応を起こすタイプの日焼け止め成分は使っていません。
- コンシーラーなのに、スキンケアの成分がとにかく多い。セラミドが5種類、ビタミンC系、ビタミンB系、AIが見つけたという新しいペプチドまで入っています。
- 引っかかったのは1つだけ、タルクです。EWGのスコアは8。ただし「今すぐやめたほうがいい」という話ではありません。理由は後半で書きます。
ヘアメイクの河北裕介さんがプロデュースしている&beの2色コンシーラー、テンシーラーUVプラス。長く人気だった「ファンシーラー」が中身ごとリニューアルして、名前が変わったものです。全成分は50個ありました。Labonoaの成分データベース(EWGのリスク評価と効果効能のタグ付き)と1つずつつき合わせて読んでみます。
日焼け止めの働きは「粉が光をはね返す」方式
SPF50+・PA++++という、日本の化粧品で表示できる最高ランクのUVカット力があります。それを支えているのが酸化チタンです。白い粉で、光をそのままはね返します。Labonoaのデータベースでも「紫外線防御」のタグが付いていて、リスク評価は低リスクでした。
いわゆる紫外線吸収剤(肌の上で紫外線のエネルギーを受け止めるタイプの成分)は入っていません。公式が「ノンケミカル処方」と言っているのはこの部分で、ヒリヒリしやすい人が選びやすい作りです。
その粉を肌にとどめておくために、油とロウで練り固めてあります。土台はサラッとした油のトリエチルヘキサン酸グリセリル。そこにヒマワリ種子ロウとカルナウバロウという2種類のロウを混ぜて、崩れにくい固さを作っています。色そのものは酸化鉄で、ツヤと肌なじみを足しているのがマイカとシリカです。
セラミドが5種類。コンシーラーとしては明らかに多い
正直、いちばん驚いたのがここです。セラミドは、肌のいちばん外側で水分をはさみこんで逃がさないようにしている成分。それが5種類入っています。
コンシーラーは、乾くとヨレたり、小じわに入り込んで逆に目立ったりします。その弱点を成分の側から潰しにきている作りです。ほかにも、細かくして肌なじみをよくした加水分解ヒアルロン酸や、肌がもともと持っているうるおい成分のPCA-Naとアミノ酸類が入っています。
AIが見つけたという新ペプチドの中身
この製品の売りになっているのが「PeptiYouth」というペプチドです。全成分での正式名称は固相合成エンドウオリゴペプチド-1。エンドウ豆をもとにした、短いたんぱく質のかけら、と思ってください。600万種類以上のペプチドのデータからAIで絞り込んだ、というのがメーカーの説明です。
ただ、正直に書いておきます。Labonoaのデータベースでは、この成分にまだ効果効能のタグが付いていません。新しすぎて、第三者が検証したデータが積み上がっていないからです。リスク評価は低リスク。「話題性はあるけれど、効き目については今のところ判断を保留」というのが今の立ち位置です。
美容成分の顔ぶれが、ほとんど美容液
- ニコチン酸アミド(ナイアシンアミド/低リスク)— タグは美白・シワ
- テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(油に溶けるビタミンC/低リスク)— タグは美白・エイジングケア
- ツボクサ葉エキス(低リスク)— タグは肌荒れ改善・抗炎症
- トコフェロール(ビタミンE/低リスク)— タグはエイジングケア
- バクチオール(低リスク)— 植物から採れる成分
コンシーラーに本来求められるのはカバー力だけなので、ここまで入れる必要はありません。ただしコンシーラーは顔全体に塗るものではないので、スキンケアと同じ手ごたえを期待するものではない、と思っておくのが現実的です。
日中に使うUVコスメに、レチノールが入っている
50成分のなかで、いちばん「おや」と思ったのがこれです。レチノールが入っています。Labonoaのデータベースでは中リスク。タグはシワ・生理活性です。
レチノールはビタミンAの仲間で、シワ対策の成分として知られています。一方でEWGの成分ページには、紫外線を浴びると分解して、細胞を傷つけうる物質を出すことがあるという趣旨の説明が書かれています。スコアは製品の形や濃度によって1〜9と幅があり、粉が舞わない固形やクリーム状のものは低いほうに寄る、とも書かれていました。
ここで大事なのは、この製品自体がSPF50+・PA++++で、紫外線を遮る側のアイテムだということ。日焼け止めの膜の中にレチノールがある状態なので、レチノール単体を昼間に塗るのとは条件が違います。むしろ相性は悪くない、という読み方もできます。
とはいえ、レチノールを避けたい事情がある方(妊娠中・授乳中で成分を選んでいる方など)は、入っていること自体を知っておく価値があると思います。迷うときは、かかりつけの先生に聞くのがいちばん確実です。
EWGのスコアは「その成分について心配だという報告がどれだけあるか」を表す数字です。製品の危険度そのものではありません。
EWGで高いスコアが付いたのは、タルク1つ
50成分のうち、Labonoaのデータベースで高リスクに分類されたのはタルクだけでした。EWGのスコアは8です。
理由は、EWGの成分ページにこう書かれています。タルクという鉱物はアスベストと同じ場所で採れることがあり、原料にアスベストが混ざる可能性があること。そして、アスベストを含まない化粧品用のタルクについても、アメリカの国家毒性プログラム(NTP)の試験で毒性や発がん性が示されたという報告があること。この2つです。ページ上では「がん」の項目が高、「汚染の懸念」も高と評価されていました。
そのうえで、落ち着いて見ておきたい点が2つあります。ひとつは、指摘の中心が粉を吸い込むことだという点。ベビーパウダーのように舞う粉と、油で練り固めたパレット状のコンシーラーでは、条件がかなり違います。もうひとつは、日本で化粧品に使われるタルクには、アスベストが入っていないことを確かめる検査があるという点です。
ほかに中リスクだったのはアルミナ、アラビアゴム、ベタインの3つ。粉の表面をなめらかにしたり、とろみをつけたり、うるおいを保ったりする役割の成分です。
高いスコアの成分が入っている=買ってはいけない、ではありません。何が入っていて、どういう指摘があるのかを知ったうえで選ぶ。それができれば十分だと思っています。
結局、どんな人に向く?
向いている人
- 紫外線吸収剤が苦手で、日焼け止めの成分を選びたい
- コンシーラーが乾いてヨレる、小じわに入るのが悩み
- クマ・シミ・赤みのカバーとUV対策を1つで済ませたい
- クレンジングの手間を増やしたくない(石けんとお湯で落とせる作り)
ほかを検討したほうがいい人
- レチノールを避けている
- タルクを含まない処方を選びたい
- パール感が苦手(マイカが入っています)
「コンシーラーの顔をした、UV下地とスキンケアの合体アイテム」。これがこの製品の要約です。1つで3役こなす分、それぞれが単品のトップではありません。そこを分かって使うのが、いちばん気持ちよく付き合える距離感だと思います。
全成分リスト
トリエチルヘキサノイン/酸化チタン/ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル/シリカ/ヒマワリ種子ロウ/ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)/トリ酢酸テトラステアリン酸スクロース/マイカ/オレイン酸ポリグリセリル-2/セスキオレイン酸ソルビタン/固相合成エンドウオリゴペプチド-1/加水分解ヒアルロン酸/セラミドAG/セラミドAP/セラミドEOP/セラミドNG/セラミドNP/バクチオール/テトラヘキシルデカン酸アスコルビル/ナイアシンアミド/ツボクサ葉エキス/アルギニン/ベタイン/PCA-Na/PCA/セリン/アラニン/グリシン/グルタミン酸/トレオニン/プロリン/リシンHCl/レチノール/ダイズ油/カルボマー/トコフェロール/アルギン酸PG/BG/アラビアゴム/水添レシチン/フィトステロールズ/カルナウバロウ/カプリル酸グリセリル/乳酸Na/水酸化Al/ステアリン酸/アルミナ/水/酸化鉄/タルク
各成分のリスク評価と役割は、成分名のリンクから個別ページで確認できます。(出典:&be公式オンラインストアの全成分表示)

