先に結論
- ティント処方をやめた代わりに、唇の上に薄い膜を作る成分が新しく入りました。これがリニューアルの中身です。
- 塗った瞬間のスースーは、ミント系の清涼成分によるものです。「ぷる」と感じる部分にこの成分が関わっています。
- 気になったのは香りまわり。香料と、香りの成分3つが、EWGで中〜高スコアの帯に入っていました。理由は後半で書きます。
吉田朱里さんプロデュースのb idol(ビーアイドル)から出ている、つやぷるリップR。2026年2月のリニューアルで「ティント処方じゃなくても色持ちが続く処方」に変わったと公式が書いています。では何が変わったのか。定番色の02 告白PINKの全成分27個を、旧つやぷるリップの成分表と並べて読んでみました。
ティントをやめた代わりに、膜を作る成分が入った
ティントというのは、色素が唇の表面に留まって落ちにくくなる仕組みのことです。つやぷるリップRは、これをやめました。それでも色が残るようにするために入っているのがビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、いわゆる(VP/ヘキサデセン)コポリマーです。
これは、塗ったあとに唇の上で薄い膜になる成分です。色をその膜の中に閉じ込めて、飲み物やマスクで落ちにくくします。旧つやぷるリップの成分表にはこの成分がありません。つまり、リニューアルで新しく足された成分ということになります。
ティントは「唇を染める」発想、こちらは「唇に薄いラップをかける」発想。同じ「落ちにくい」でも、やっていることは別物なんです。
膜を作る成分がもう1つあります。セチルPEG/PPG-10/1ジメチコンです。油と色の粉が分かれてしまわないように、まとめてなじませる役割。こちらはEWGで中スコアの帯に入っている成分です。
「ぷる」の正体は、ミント系のスースー成分
成分表の8番目に乳酸メンチルがあります。ミントの仲間にあたる成分で、肌にひんやりした感覚を出します。メントールよりも刺激がおだやかで、じんわり冷たい感じが続くタイプです。
つやぷるリップの口コミに「スースーする」「塗ると唇がふっくら見える」という声が多いのは、この成分が関わっています。ここで正直に書いておくと、唇そのものが物理的に膨らんでいるわけではありません。清涼感と、油の膜によるツヤで、そう見えているという理解が近いと思います。
ちなみに乳酸メンチルはb idolのつやぷるリップ全色に入っています。旧版からずっと変わっていない、このリップの背骨のような成分です。
「うるおい」の中身は、水ではなく油
27成分を眺めていて目立つのは、油とワックスの多さです。上位を占めているのは、こういう顔ぶれでした。
- リンゴ酸ジイソステアリル(低リスク)— とろりとした感触を作る油。一番多く使われています
- ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(低リスク)— 名前は長いですが、唇にぴったり密着させるための油
- (アジピン酸/カプリン酸/カプリル酸/ヘプタン酸)ペンタエリスリチル(低リスク)— ツヤを出す油
- オクチルドデカノール(低リスク)— さらっと伸ばすための油
固さを出しているのはパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックスの3つ。ここにジステアリルジモニウムヘクトライトと炭酸プロピレンが加わって、粉っぽい色材が沈まないように支えています。
つまり「うるおう」と書かれていますが、その中身は水分ではなく油です。油の膜でふたをして、唇の水分を逃がさない方向の設計。乾燥した部屋で使っても中身が飛ばない一方で、すでにガサガサに荒れている唇を修復する類のものではない、と考えたほうが実態に近いと思います。
美容成分は3つ。数は少ないけれど、位置がいい
公式が「美容成分」として挙げているのは次の3つです。
- アルガニアスピノサ核油(低リスク)— アルガンオイル。保湿のタグが付いています
- ホホバ種子油(低リスク)— こちらも保湿のタグ付き
- ヒアルロン酸Na(低リスク)— 水分を抱えこむ成分
3つとも成分表のいちばん最後のほうに並んでいます。ただし、リップの全成分表示は色材や香りの都合で順番が前後することがあるので、「後ろにあるから少ない」と決めつけるのは避けたいところです。数としては控えめでも、唇まわりの油としては相性のいい顔ぶれが選ばれている、というのが率直な感想です。
もう1つ、酢酸トコフェロール(ビタミンEの仲間)も入っています。中身の油が酸化して劣化するのを防ぐ役割が大きい成分です。
忖度しない1点:香りまわりの成分が4つ
27成分のうち、EWGのスコアが高めの帯に入ったのは香料でした。EWGの成分ページで確認すると、スコアは8。理由として挙げられているのは、「香料」という表示が中身を明かさない混合物であることと、皮膚・目・肺への刺激の懸念が中程度と評価されていることです。
さらに、香りに由来する成分が3つ、名前を出して書かれています。
リモネンはEWGでスコア5。刺激(皮膚・目・肺)の懸念が高いと書かれていました。
ここで大事なことを2つ。まずEWGのスコアは「危険度」ではありません。その成分について懸念の報告がどれくらいあるかを示す数字で、製品の安全性をそのまま表すものではありません。そして、この3つが名前を出して書かれているのは、隠しているからではなく逆です。アレルギーを起こす可能性があるものは名前を明記する、という国際的なルールに沿った表示なんです。書いてあること自体は、むしろ誠実な対応だと思っています。
そのうえで気に留めておきたいのは、リップが「口に入る場所に塗るもの」だということ。香りの成分で唇がピリピリした経験がある人、口まわりが荒れやすい人は、いきなり全体に塗らず、少量から試すのが安全だと思います。
結局、どんな人に向く?
向いている人
- マスクや飲み物で落ちるのは困るけれど、ティントのガサつきは苦手
- マットよりツヤっぽい仕上がりが好き
- 塗ったときのひんやり感が気持ちいいと感じる
ほかを検討したほうがいい人
- 唇が荒れている、皮がむけている(治すためのものではありません)
- 香りの成分で刺激を感じたことがある
- スースーする感覚が苦手
「染めるのをやめて、包む方に振った」——これがつやぷるリップRの要約です。落ちにくさの仕組みが変わったので、旧つやぷるリップを使っていた人ほど、塗り心地の違いを感じるはずです。荒れやすい季節は、下にリップクリームを1枚重ねてから塗ると差が出ると思います。
全成分リスト(02 告白PINK)
リンゴ酸ジイソステアリル/ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)/(アジピン酸/カプリン酸/カプリル酸/ヘプタン酸)ペンタエリスリチル/ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2/(VP/ヘキサデセン)コポリマー/パラフィン/オクチルドデカノール/乳酸メンチル/マイクロクリスタリンワックス/1,2-ヘキサンジオール/イソステアリン酸ソルビタン/酸化チタン/合成ワックス/セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン/ジステアルジモニウムヘクトライト/赤202/酢酸トコフェロール/香料/黄5/炭酸プロピレン/青1/リモネン/リナロール/シトラール/アルガニアスピノサ核油/ホホバ種子油/ヒアルロン酸Na
全成分はb idol公式ブランドサイトの表示にもとづいています。色によって成分が違うので、他の色を使っている方は公式の表示をご確認ください。各成分のリスク評価と役割は、成分名のリンクから個別ページで確認できます。

