心の不調に「補完的な選択肢」を
気分の落ち込みや不安を感じたとき、カウンセリングや薬物療法といった標準的な治療に加えて、何か自分に合うケアを見つけたいと考える人は少なくありません。近年、そんな「補完的アプローチ」のひとつとして注目されているのが、東洋医学に由来する鍼灸です。アメリカの研究チームが発表した最新の知見によると、鍼灸が脳の特定の領域に変化をもたらす可能性が示され、心の健康をサポートする手段としての関心が高まっています。
研究が明らかにした脳の変化
この研究は、うつ状態にある357人を対象に、実際の鍼灸と、鍼を刺さない「偽鍼」を行ったグループの脳画像を比較したものです。その結果、鍼灸を受けたグループでは、感情のコントロールに関わる「右帯状回」や、報酬系として知られる「右尾状核」の活動が高まっていたといいます。さらに、セッションを重ねるごとに、感情処理に重要な「左扁桃体」の変化も見られたとのこと。これらの変化は、鍼灸が脳のネットワークに何らかの働きかけをしている可能性を示唆しています。
「リラックス体験」としての価値
専門家は、鍼灸の効果を脳の神経生物学的な変化だけで説明するのは早計だと指摘します。鍼灸には、施術中の静かな時間や身体への意識を向ける体験そのものがもたらすリラックス効果もあると考えられています。「生理的な緊張が和らぎ、睡眠の質が上がったり、痛みが軽減したりすることで、結果的に気分が安定することもある」と話すのは、ニューヨーク大学の臨床准教授です。つまり、鍼灸は「心」と「身体」の両方に働きかける総合的なケアとして捉えることができるでしょう。
大切なのは「補完」としての位置づけ
ただし、この研究結果は「鍼灸がうつ病を治す」ことを証明するものではありません。脳の活動変化は一時的なものであり、既存の治療を置き換えるものではないと専門家は強調します。あくまで、現在行っている治療にプラスして、自分自身のケアの幅を広げるひとつの選択肢として考えるのが良さそうです。鍼灸に興味がある方は、医師や鍼灸師と相談しながら、安全に受けられる環境で試してみてはいかがでしょうか。
本記事は以下の海外メディアの記事を参考に、ラボノア編集部が独自に再構成したコラムです。商品の効能効果を断定するものではありません。
参考記事: Acupuncture Could Be Helpful for Depression, New Study Shows

