髪型がキャラクターの“鎧”になる瞬間
ドラゴンが空を舞い、血で血を洗う戦いが繰り広げられるファンタジー世界。そんな中で、実はヘアスタイルが物語を語る重要な要素になっているのをご存じでしょうか?HBOのドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』では、髪型が単なる装飾ではなく、キャラクターの心理や立場を表現する“鎧”として機能していると言われています。
ヘアデザインを統括するロザリア・キュローラ氏は、各キャラクターの髪型がその人物の成長や変化を反映するよう意図されていると語っています。特に主人公レイニラ・ターガリエン(演:エマ・ダーシー)の髪型は、シーズンを追うごとに大きく変化。最初は髪を下ろした柔らかな印象だったのが、ドラゴンライダーとしてのアイデンティティを確立するにつれ、複雑な編み込みが施されるようになります。これは彼女が“鎧”を身につけるように、精神的な強さを獲得していく過程を象徴しているのです。
自然と歴史から生まれる編み込みの技法
キュローラ氏は、髪型のインスピレーション源として、シチリア島に自生するある木の根の有機的な絡まり方を挙げています。「根が絡み合い、自然に結合する様子に、鎧のような質感を感じた」と彼女は説明。さらに、実際のチェーンメイル(鎖かたびら)や布地のテクスチャーも参考にし、それを髪で再現する試みがなされています。
特に戦闘シーンでは、髪型がキャラクターの防御の一部として機能するようデザインされています。編み込みは単に美しいだけでなく、ドラゴンに乗る際の実用性も考慮されており、風や動きに耐えられる構造になっていると言われています。
権力の喪失を髪型で表現する
一方で、レイニラとは対照的に、アリセント・ハイタワー(演:オリヴィア・クック)とヘラエナ・ターガリエン(演:フィア・セイバン)の髪型は、シーズンが進むにつれてシンプルで乱れた印象へと変化します。これは彼女たちが権力を失い、宮廷内で信頼できる人物が減っていく状況を反映しているとキュローラ氏は分析。「彼女たちは侍女を近づけたがらず、自分たちで髪を整えているように見える」と語り、かつての王族らしい華やかさが失われていく様子を表現しています。
このように、髪型の変化はキャラクターの内面や社会的立場を視覚的に伝える手段として機能しているのです。
隠された遊び心:シーズン3へのイースターエッグ
キュローラ氏は長年ウェスタロスの世界に携わってきた経験を活かし、細部に遊び心を込めています。今シーズンでは、一部のキャラクターの髪に数字の「3」を編み込むことで、シーズン3へのオマージュを表現。同様に、シーズン2の最終話では「8」を編み込み、シーズン内のエピソード数を示唆していたそうです。
さらに、最終話では自身のイニシャル「R」と「C」を髪型に隠し、まるでサインのように残していると明かしています。こうした細かな仕掛けは、視聴者が何度も見返したくなるような発見の喜びを提供していると言えるでしょう。
ドラマのヘアスタイルは、単なる見た目の美しさだけでなく、キャラクターの物語や制作陣の遊び心が詰まった奥深い要素です。次に画面を見るときは、ぜひキャラクターの髪型にも注目してみてください。そこに隠されたメッセージに気づくかもしれません。
本記事は以下の海外メディアの記事を参考に、ラボノア編集部が独自に再構成したコラムです。商品の効能効果を断定するものではありません。
参考記事: How Hair Is Used as "Armor" in House of the Dragon Season 3

