あの頃、私たちはスモーキーアイで数学の授業に臨んでいた
2013年、鏡の前でアイシャドウパレットを開き、クリースにブラウン、まぶた全体にシマー、外側にダークカラーをのせる。そんなルーティンが日常の一部だった時代があります。デートやパーティーだけでなく、学校やちょっとした買い物にも、大胆なアイメイクは欠かせませんでした。あの頃のスモーキーアイは、単なるメイクではなく、自分を表現する遊び心そのものだったのです。
しかし、気づけばそのスタイルは姿を消しました。今や朝のルーティンはスキンケア中心で、アイメイクはマスカラだけ。夜の外出でさえ、かつての“武器”だったパレットを手に取ることはめったにありません。なぜ、あれほど熱中したスモーキーアイは私たちの日常から去ってしまったのでしょうか。
スモーキーアイの進化:エジプトからYouTubeへ
スモーキーアイの歴史は古く、古代エジプトの王族や1920年代のフラッパー、90年代のスーパーモデルまで遡ります。2000年代初頭には、リンダ・カンテッロやパット・マグラスといったメイクアップアーティストが、アイシャドウではなく黒いアイライナーペンシルで作り出す、あえてにじませた“セクシーでリラックスした”スタイルを広めました。
その後、インディー・スリージーやTumblrカルチャー、『ゴシップガール』や『プリティ・リトル・ライアーズ』といったテレビドラマが、このスタイルを新たな世代に再紹介。10代の私たちの部屋に、スモーキーアイが再び舞い降りたのです。2010年に登場した人気のアイシャドウパレットは、まさにこの10年を象徴する存在となりました。
なぜスモーキーアイは“静かな”メイクに取って代わられたのか
ニューヨークを拠点とするメイクアップアーティスト、ライラ・チャイルズ氏は、この変化の理由を「トレンドセッターと消費者の年齢差」にあると指摘します。かつて私たちが憧れたセレブやYouTuberたちが成熟するにつれ、彼女たちのメイクもより控えめで洗練されたものへと変化。同時に、シアーなツヤや自然な仕上がりを提案するブランドが台頭し、「クリーン」でミニマルな美しさが新たなスタンダードとなりました。
パンデミックによる世界の停滞やウェルネス文化の高まりも、この流れを後押ししたと言われています。TikTokを検索すれば、今や“すっぴん風”メイクのチュートリアルが溢れています。かつてのように、まぶた全体をキラキラのシャドウで覆うスタイルは、どこか“古い”ものとして扱われるようになりました。
再び、スモーキーアイを日常に取り戻す理由
しかし、最近ではスモーキーアイへのノスタルジーが静かに再燃しているのを感じます。それは単なる過去への郷愁ではなく、あの頃の自分自身を取り戻すような感覚です。数学の授業の前に鏡の前で何度も練習したこと、友達と新しいパレットをシェアしたこと、そして何より、メイクを通じて自分を表現する喜びを知ったこと。
スモーキーアイは、決して“派手すぎる”メイクではありません。肌や目の色に合わせてトーンを調整すれば、不思議と顔の一部として馴染み、むしろ柔らかで洗練された印象を与えることができるのです。研究によると、適度なコントラストと陰影が目元を引き立て、表情に深みを加える効果があるとも言われています。
もしあなたが、あの頃の自分を思い出したいなら、あるいは新しい自分を発見したいなら、ぜひもう一度スモーキーアイに挑戦してみてください。かつてのように、日常の小さな冒険として。メイクは、私たちが自由に遊べる“遊び場”なのですから。
本記事は以下の海外メディアの記事を参考に、ラボノア編集部が独自に再構成したコラムです。商品の効能効果を断定するものではありません。
参考記事: A Zillennial Ode to the 2010s Smoky Eye

